個別指導塾の広告をみていると、「成績保証」「成績が上がらなかったら返金」などのキャッチコピーがよく見られます。
本当に保証してくれるのか?、返金してくれるのか?、疑問に感じた方も多いと思います。
ここではそんな「成績保証」「返金保証」の条件や返金が本当にあるのか?本当に成績があがるのか?についてお伝えしたいと思います。
そもそも保証の意味は?
保証、保障、補償、この言葉にはいろんな漢字が使われて、それぞれに別の意味があります。
ここで挙げる「成績」に続く漢字を調べると「保証」のようです。
「保証」を調べてみると
1 間違いがない、大丈夫であると認め、責任をもつこと。「品質を—する」「彼の人柄については—する」
2 債務者が債務を履行しない場合に、代わって債権者に債務を履行する義務を負うこと。「—責任」
(weblio辞書)となっていますので成績保証を当てはめると
成績があがるのは間違いない、大丈夫、責任持ちますよ
といった意味合いでしょうか。
また、「上がらなかったら○○します」があることを考えると
「補償」の意味合いもあるのかもしれません
(weblio辞書)個別指導塾の成績保証は成績があがるのか?そのからくりは?
成績保証の広告では「+○○点」という表記がされています。
塾によって設定している点数は違いますが、大体が100点満点で+20点、+25点くらいが多いようです。
そして、前回のテストが○○点未満なら+20点(+25点)、○○点以上なら70点(80点)以上を保証しますという条件を設定しているところが一般的です。
何点になれば成績保証?
例えば、「前回テストが50点未満なら+20点、50点以上なら70点以上を保証」を例にすると。
前回テストが45点の場合、65点で成績保証達成、これは嬉しいと思います。
前回テストが10点の場合、30点で成績保証達成、ちょっと微妙…。
前回テストが65点の場合、70点で成績保証達成、これ嬉しいですか?
つまり、元の成績が良いほど少ない上がり幅で成績保証が達成されます。
もちろん、0点を20点にするのと、80点を100点にするのでは、前者の方がやりやすいのは確かですが、こういった設定にしていることが「からくり」があると思われるのかもしれません。
ここでは条件の点数は変えていますが、「塾 成績保証」で検索すると、具体的な塾がいくつか出てきますよ。
成績保証を受ける条件
個別指導塾の場合、1週間の教科数やコマ数によって料金が変わっていきます。
コチラの記事も参考に
成績保証を受けるには、この受講する回数も含め、いくつかの条件が指定されます。
受講するコマ数を指定されます。
成績保証を受ける教科については週何回以上のように受講するコマ数の指定があります。例えば、数学の成績保証を受けるには、数学を最低週に最低2回は受講する、など。
当然ながらこれは授業料として支払いますので、料金的な負担が増します。
講習の受講が義務
夏期講習、冬期講習、春期講習などの講習の受講が義務となります。通常はあくまで任意の受講なので、支払う料金が大きくなります。
遅刻欠席の制限
遅刻や欠席は成績保証でなくても本来はするべきではありませんが、成績保証で、やむを得ない場合以外の遅刻欠席が条件回数を超えると、成績保証が打ち切られる場合があります。
宿題の完全提出
宿題の完全提出も、当たり前といえばその通りですが、これも未提出が条件回数を超えると、成績保証が打ち切られる場合があります。
指定教材の購入
通常の教材以外に、塾が指定した教材の購入が必要になります。
問題集やドリル類が一般的ですが、教材販売会社が母体の個別指導塾になると、高額なものを指定される場合があります。
学校の授業に参加している
学校の授業に参加しているというのは、言い換えると、不登校の生徒は成績保証を受けることはできないということです。
毎日学校に行って、学校の授業を受けていることが条件になります。
個別指導塾の返金保証、返金はあるのか?そのからくりは?
返金保証と聞くと、支払った料金を返してもらえるように思われるかもしれませんが、個別指導塾の返金というのは、成績保証が達成できなかった以降の授業料が無料になるという意味です。
だいたい、未達成以降の3ヵ月間の授業料無料が一般的です。
注意が必要なのが、無料になるのは「授業料」で、諸費用は対象外になることが多いので注意が必要です。
(諸費用については別記事 でも触れています)
一部の個別指導塾でお金を返す「返金」の記載もありましたが、1ヵ月限定の「お試し」であったり、半年間の通塾の義務化であったりと、より条件が厳しいものなっています。
そして、すべてについて、「新規入塾生に限り」、「入塾時に契約」、となっています。
個別指導塾の成績保証・返金保証は使えるの?
誤解していただきたくないのが、このような各種の条件は、成績をあげるうえでは当然必要なもので、ただ塾に通うだけでは成績は上がらないということです。
あまり言いたくないことですが、毎年成績が上がらないと言ってやめていく塾生が何人かいました。
でも、成績が上がらない生徒に共通しているのが、成績保証の条件にあることが出来ていないからでした。
受講は週1教科、講習は取らない、自習には来ることはなく家で勉強もしていない、宿題はやってこないまたは答え丸写し、授業開始間際に来て終わると即帰ってしまう、中には個別指導塾で授業中に居眠り…。
講習を提案のまま受けろとか、教材を買えとか言われると、料金的に厳しくなることは理解していますが、極論を言えば、学習塾は成績をあげることにお金を払う場所、という考え方もできます。
そのため、成績保証制度は成績を確実にあげる方法を明確化し、そのために必要な料金を明確化したものという言い方もできます。
そういう風に考えることができる方にとっては成績保証・返金保証は使えると思いますし、ある意味、成績が上がらない責任の所在を明らかにできます。
とはいえ、高校受験に向けて塾に通う期間なんて、長くても2年から3年で、多いのは中3の1年くらいです。
成績保証はどこも中学3年生は対象外になっているので、ほとんどが体験することはないでしょう。
つまり、この成績保証・返金保証は塾の宣伝のひとつと考えていいと思います。
成績保証と返金保証のからくりまとめ
一時期は個別指導塾がこぞって成績保証・返金保証を打ち出していましたが、受講者の少なさ(対象者の少なさ)と、成績があがらなかったときの対応の難しさで、最近はこの成績保証・返金保証をやっている塾が減っています。
これは成績保証と返金保証のからくりに親御さんたちが気づいてきたからかもしれません。
成績保証・返金保証については受講者側の決意と料金負担が大きくなるので、個別指導塾の生徒募集広告のひとつと考えるのが良いと思います。
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