中学生が通う個別指導塾の授業料と各種料金 受験生になると授業料が高くなる理由とは

個別指導塾の料金 塾情報

お子さんの学習塾を考えるときに一番気になるのが料金面だと思います。

文部科学省が発表した、学習塾費を支出している家庭を対象にした調査データの中で、公立中学校に通う中学生の学習塾費の年間費用の平均額を発表したものが以下の通りです

学年(公立中学校)年間平均額1カ月当たり
中学3年生389,861円32,488円
中学2年生203,859円16,988円
中学1年生156,032円13,022円
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査-結果の概要より抜粋 https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf

なぜ学年が上がるにつれて料金が高くなるのか、なぜ中学2年生から中学3年生にかけて2倍近くに急に高くなるのか、授業料以外にかかる料金にはどんなものがあるのか、など具体的にお話していきます

個別指導塾の料金のしくみについて

毎月の支払額だけで比較すると、学習塾全体の平均に対して個別指導塾の料金だけが突出して高いわけではありません。

受講する教科数の違い

個別指導塾の受講教科数は、1週間に英語と数学+αが標準的です。

この+αというのは、数学を週2回など同じ教科を増やしたり、国語・理科・社会のうち苦手な教科を追加するもので、中学3年生の受験生によくある受講方法です。

これに対して集団塾の場合は元々5教科受講が基本になります。

通常時の1週間の基本受講数夏期・冬期講習時の追加受講
個別指導塾英語・数学・同じ科目や苦手科目国語・理科・社会
集団塾英語・数学・国語・理科・社会全科目

個別指導塾が高いといわれるのは、5教科受講に置き換えて比較した場合で、支出額そのものは個別指導塾も集団塾も上記の平均額とそう変わらない金額だと思います。

 個別指導とはどんな状態でどんな定義があるの?

個別指導と聞いて普通に思い描く状況は、家庭教師のような「生徒1人に対して1人の先生」だと思いますが、多くの個別指導塾は生徒が2人~3人に講師1人、比較的料金が安い個別指導塾では生徒4人に講師1人のようなこともあります。

それでは個別指導とはどのような定義をもとに運営しているのでしょうか?

集団塾では同じ内容の授業を数十人の生徒が受けていますが、個別指導塾の場合、生徒の数だけ授業の数があります。

例えば、3人の生徒が1人の講師の授業を受けている場合

  • Aさんは中2数学
  • Bさんは中1英語
  • Cさんは中3数学

のようなことが普通にあり、各々が個別に授業を受けている状態です。

また、同じ学年で同じ科目であっても

  • Dさんは教科書20ページから
  • Eさんは教科書10ページから
  • Fさんは前学年の振り返り

のように授業の内容が違うのが個別指導塾です。

1回の授業の生徒数1回の授業の講師数授業の内容
個別指導塾1人~4人グループごとに1人1人1人違う内容
集団塾数十人1人+補助同じ内容

上記のように

☆違う内容を個々に授業するのが
「個別指導塾」
☆同じ内容を複数人に授業するのが
「集団塾」

というのがそれぞれの定義になります。

個別指導塾の授業の流れと料金の関係

中学生のAさん、Bさんの2名を講師1人で
授業を行う場合

AさんBさん
宿題の採点と解説①前回内容の小テスト
②前回内容の小テスト②宿題の採点と解説
③授業③問題演習
④問題演習④授業
⑤授業⑤問題演習

このような授業の流れになるので、生徒からは1対1の授業に感じられるのが個別指導塾の授業の仕組みです。

この仕組みがわかると、1コマの授業時間と生徒数が授業料に関係してくることがわかると思います。

つまり

1コマ(授業)の時間が短く生徒数が多いほど料金が安くなり

1コマ(授業)の時間が長く生徒数が少ないほど料金が高くなる

という仕組みです。

別の言い方をすれば

1コマ(授業)の時間が短く生徒数が多いほど授業の内容は薄く

1コマ(授業)の時間が長く生徒数が少ないほど授業内容が濃く

なります。

中学3年生になると授業料が2倍近くになるのはなぜ?

上記の表では中学2年生の学習塾費の年間費用の平均額が203,859円 月額が16,988円

これに対し中学3年生の学習塾費の年間費用の平均額はが389,861円 月額が32,488円

となっています。

このような、いきなり2倍近くになる理由は以下の通りです。

授業料自体が高くなる理由

塾の料金形態は、以下のように概ね4つの大きなくくりで決められています

  • 小学6年生まで
  • 中学1年生2年生
  • 中学3年生
  • 高校生

高校生も1年2年生と3年生の違いがあったり、浪人生の料金形態もありますが、ここでは省略します。

学習塾というのは一種の「不安産業」です。

料金形態のくくりを見ていただいてわかると思いますが、下に行くほど将来の不安が増していき、それに伴って料金が高くなっていきます。

もちろん、学年が上がるにつれ授業の内容や講師のスキルも上がっていくため、それなりのコストがかかりますが、少なくとも中学2年生と3年生ではそこまでの差はありません。

表現は不適切かもしれませんが、塾の授業料が高くなる理由は

不安につけこんだもの

の要素が大きいと思います。

授業料以外が高くなる理由

中学3年生の受験生になると、受験合宿のようなイベントを企画する塾が多くあります。

バスを仕立てて、地方部の林間施設などで朝から晩まで勉強漬けにするようなもので、実はこれらも塾の収益の1つになっています。

また、中学1年2年の頃は受講していなかった夏期講習や冬期講習などの講習会も、受験生になったことで受講する生徒が格段に増えます。

これらの費用だけでも、数万円から数十万円の追加費用になるので、中学3年生の塾代平均費用を押し上げている原因の一つです。

授業料以外にかかる各種料金の内容

諸経費(諸料金と表示しているところも)とは

個別指導塾の新聞折込やポスティングのチラシなどに料金を大きく「1科目1万円」のように記載してることがありますが、もう少しチラシを隅々まで見ると、「別途諸経費がかかります」「入学金がかかります」などと書いています。

学習塾の料金には、入学金とともに、「諸経費」(塾によって呼び名は違いますが)という謎の料金がかかります。
大体1ヵ月3千円~8千円くらいまでが多く、毎月授業料に合算して支払うものや、年1回2回にわけて支払うパターンがあります。

入学金はその名の通りで、キャンペーンで無料になったり、そもそも入学金自体を廃止しているところも多くあるのであまり気にしなくても良いと思います。

諸経費は毎月の授業料とは別にかかる料金で、冷暖房費、プリント印刷費、清掃費などの名目になっています。

この諸経費、なぜ授業料に含めないの!

その答えは、見た目の料金を安く見せるためです。

新聞折込のチラシなどには授業料しか記載されていない場合が多いですね。

一般的な個別指導塾の料金内訳と表示方法

個別指導塾の1カ月の料金内訳を見てみましょう。以下は代表的なパターンです

  • 授業料:12,000円(1教科/月4回)
  • 諸経費:5,000円(何教科でも同じ)
  • 合計:17,000円

しかし、これで収まるのは中学2年生くらいまでです。

中学3年生の受験生になると最低でも英語・数学の2教科は取りますし、どちらかを週2回にして週3教科が平均的です。

また、どこの塾も中学1年生2年生は同じくらいの料金ですが、3年生になると高くなるのが普通です。

1教科が2教科になっても、授業料は単純に2倍にはなりませんが、以下は代表的なパターンです

  • 授業料:40,000円(3教科/月12回)
  • 諸経費:5,000円(何教科でも同じ)
  • 合計:45,000円

もちろん、これより安いところ、高いところ、はありますが、個別指導塾で中学3年生が週3教科受講すると、1カ月の受講料は40,000円~50,000円は必要になると思うので、このあたりが個別指導塾は高いと思われるところかもしれません。

個別指導塾の教材費(教材料金)の負担は意外に大きい

入塾時にかかる料金で意外に高いと思われるものに「教材費」があります。

塾教材はこんな感じです。

<塾教材販売会社 育伸社ホームページより>

個別指導塾でよく使用されているのは教科書連動型の教材(目次に学校の教科書のページとの対比がされていて、学校の授業の進み具合に合わせて授業が出来るようになっている)もので、1冊当たり2,000円~3,000円が標準的です。

ただ、教材に価格が表示されていないので、全く同じ教材が、ある塾では2,000円、別の塾では5,000円のようなことが普通にあります。

傾向としては、フランチャイズ系の塾で本部から教材を仕入れているところは高くなっています。

また、それ以外にも問題集やプリント集の購入を求められることがあり、夏期講習、冬期講習時の講習用の教材なども合わせると、年間で2万~3万円になってしまうことも普通にあります。

ちなみに私が経営していた塾では学校の教科書と問題集をそのまま利用していました。
結局のところ、定期テストも高校受験問題も中学校で使用されている教科書や問題集を基につくられていて、テストでもその中から同じような問題が出題されますし、何より学校で使用する問題集すら完全にできないのに、新しい問題をさせることに疑問があったためです。

これについては、よほどの進学私立高校を受験する以外は学校の教科書を使うのが合理的だと今でも思っています。

教材販売会社が経営している塾は教材の料金が高い

教材販売会社が親会社の学習塾が多くあります。そういったところは教材の販売も収益の一つなので教材費が高くなりがちです。

ここで塾名を出すことは控えますが、教材費だけで5万円のような個別指導塾もありますので、入塾相談の際に必ず確認しましょう。

決して無駄なものを販売することはないと思いますが、入塾相談時にどの教材をどれくらいの期間で使うのかを確認することが重要になります。

個別指導塾の料金まとめ

個別指導塾の料金は、生徒ごとの習熟度や目的(志望校)によって変わってくるので、「中学3年生の1カ月の料金はいくらですか?」と聞かれても答えにくいのが本音です。

保護者としては周りと同じようにしてあげたい、子供にとって最良の学習環境をつくってあげたい、でも予算を考えると…。

このような気持ちは本当によくわかりますので、決して安くはない塾選びで失敗してほしくないのが正直な気持ちです。

そのためにも、気になる塾があったらまずは話を聞きに行ってください。

チラシやホームページでもある程度の情報は得ることはできますが、本当に知りたいことは載っていないものです。

この先の進路や今の成績のような、個人情報の中心にあるような話をしていく人(塾長)を知る意味においても、直接出向いて話をすることをお勧めします。

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